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【歴史】1940年代のジーンズ事情-戦争と戦後

戦時下の物資統制とジーンズ

1939年に第二次世界大戦が起こるとアメリカもそれに参戦。そして1941年、日本軍による真珠湾攻撃を発端として太平洋戦争が始まる。太平洋戦争の開始によって、アメリカでは物資統制がしかれた。
リーバイス(Levi's)では、綿糸の無駄遣いという理由からアーキュエイトステッチからペンキステッチに変更され、股リヴェットとバックルバックが廃止される。そのほかには、銅メッキのスチールリヴェットへの変更、月桂樹のドーナツ型トップボタンの採用など。しかし、品質にこだわるリーバイスは、デニムのオンスダウンにだけは抵抗していた。

一方、リー(Lee)は、アメリカ有数のワークウェアメーカーとして政府から軍需品の生産を請け負っていた。

ジーンズは、よりオリジナルなものに変化・発展していくことになる。

なお、日本にもアメリカ軍の進駐によってジーンズがもたらされる。(しかし、実は戦前にリーバイスが日本で商標登録をしていたという事実がある。おそらく、ほとんどの日本人がジーンズを着用しなかったが)。アメリカ軍兵士たちのジーンズが闇市などを通して販売されました。しかし、当時の日本人はあまりジーンズを履いていなかったようで、一部の人が取り入れたと言われています。

リーの挑戦

それまでのリーのジーンズ、「101カウボーイパンツ」は、ヘア・オン・ハイドのレザーパッチといった特徴があったものの、バックポケットにリーバイス風のアーキュエイトステッチを使用したりと、リーバイスの「501」に似たものだった。

リーのジーンズは物資統制の下、リヴェットやボタンの簡素化を求められたが、バックポケットのステッチは補強用のステッチとして認められていた(バックルバックは廃止)。そして、1944には、「リー・ライダース」と改名され、オリジナルのレイジーSステッチが採用され、またそれまでのワークウェア的な太いシルエットから、タイトで体にフィットするシルエットに変更されていった。

リーは、カウボーイのイメージを広告戦略に用いながらも、より都会的なシルエットにすることで、戦後のカジュアルウェア市場をジーンズで制しようとした意気込みが表れている。

戦後~ラングラーブランドの誕生

戦後、リーバイス「501」のアーキュエイト・ステッチが復活。1946年に、リーはエロッサー・ハイネマン社を買収する。同社は「キャントバステム」や「ボス・オブ・ザ・ロード」などのブランドを抱える有力ワークウェアメーカーだった。同年、雑誌「LIFE」など広告での打ち出し方を変え、ここからリーは、ワークウェアーメーカーからカジュアルウェアメーカーへとシフトチェンジしていく。この背景には、戦前の不況から一転して戦後の経済成長と繁栄を見越して、カジュアルウェアの需要が増えると思ったからなのではないかと予想する(1949年には女性用の「レディ・リー・ライダース」を発売)。

戦前さまざまなワークウェアメーカーが買収や合併を通して生まれ、ワークウェア市場で世界最大のメーカーにまで成長したブルーベル社が、1947年にラングラー(Wrangler)」ジーンズを発売する。“ジーンズ”の名称を正式に最初に使用したのはブルーベル社だったと言われている。

ラングラーは、ハリウッドのウェスタン・デザイナーであったロデオ・ベンをデザイナーに起用。そうして作られた世界最初のデザイナージーンズ。ロデオ・ベンは、ラングラーのジーンズに機能性やフィット感などをもたらした。実際に馬に乗るカウボーイたちに意見を聞きつつジーンズのデザインをしていった。

機能的な「ラングラー」のジーンズはカウボーイたちに人気になり、ワークウェアだけでなく、ウェスタンウェアにおいてもブルーベル社は高いシェアを誇る。

1949年にはデニムジャケットの「11MJ」を発売。このデニムジャケットもフィット感のある機能性の高いものだった。そして同年にレディースジーンズの「ジーニーズ」を発売する。

女性とジーンズ

ここで女性とジーンズについて少しご説明。今ではメディアで「女性向けのデニム特集」などが組まれたり、男女問わず、そしてハリウッドなどのセレブからストリートの若者まで人気のジーンズだが、もともとは労働着。女性がジーンズを着用することは、男性よりもだいぶ後になってからのこと。

労働着で、しかもゆったりとしたダボダボのシルエットだったからという理由もあるが、それ以上に、センターフロントにあるボタンフライ(またはジッパーフライ)のパンツであることのほうが大きな理由の1つでもあった。

当時、女性用パンツはセンターではなくサイドにジッパーがついていた。だから、センターフロントにあるジッパーをおろすことに抵抗があり、とても良くないことと思われていたのだ。こうしてジーンズは女性に避けられる傾向にあった。

しかし、それを変えたのが戦争。男性が戦場に行く中、女性は兵器工場などで工場作業員として戦争に従事していた。

そこでの作業着・労働着には主にジーンズが採用されていたことから、女性がジーンズを着用するきっかけとなり、戦後のジーンズのファッション化に大きな影響を与えることになった。

第4章は、不良とジーンズ - マーロン・ブランドとジェームズ・ディーン

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【歴史】1940年代のジーンズ事情-戦争と戦後|写真1

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